farCe*Clown

2011年エイプリルフール企画番外編 おまけ

 エイプリルフール企画の学園パロデイSSのおまけです。パロディ自体がエイプリルフールに乗じたお楽しみ企画の上に、そのおまけなので、さらに調子に乗っています。
 大丈夫な方だけ、自己責任でスクロールしてください。














 シルヴィオに渡された代物に、希有は頬を引きつらせた。
 黒い革のベルトに銀色のスタッズが光っている。漫画やアニメで見かける、強面の犬が付けているものだ。
「……、指輪」
 現実逃避したいが、上手く逃避できない。
「ちょっと、わたしの目が悪くて大きく見えるだけだよね……、指輪だよね!」
「何を莫迦なことを言っている。――、何処からどう見ても首輪だろう」
「あああ、今、空耳が!」
 恋人に首輪を贈られて喜ぶ女が、何処にいると言うのだ。
「今までのように、ふらふらと誰にでも良い顔をされたら堪ったものではないからな」
 意地の悪い笑みを浮かべたシルヴィオが、希有の肩を掴んだ。
「一年は待ってやると言っているんだ――、これくらい、赦されるだろう?」
「……っ、ゆ、赦されるわけないでしょ! 変態!」
 徐々に後ろに後退していくと、冷たい壁に背中が当たる。
 シルヴィオが両手を壁について、美しい顔を希有に近づけてくる。薄い唇が耳元に触れた途端、希有は頬を真っ赤に染める。
 目の前の美貌の男と違って、希有は平凡な少女だ。当然ながら、経験などあるはずがない。
「諦めろ」
 シルヴィオが囁いて、耳裏を生温かな舌が舐めた瞬間、希有は固く目を瞑った。
 同時に、何かが首に巻かれる感触がして希有は身を強張らせた。
「ほら、目を開けろ」
「え……?」
 希有の首元に巻かれていたのは、先ほどまでの首輪ではなく、黒いチョーカーだった。
「首輪。なんだ、さっきのを期待したのか?」
「い、いや、期待はしていないけど!」
 ただ、本気でやりかねない男であるため、身構えていた。
「流石に、恋人に本物の首輪付けるような趣味はない。――、まあ、お前がそういう趣味を持っているなら、合わせてやっても良いが……」
「持っていないから!」
「それなら良い。大事にしろ、お前が帰る場所は俺の元だ」
 柔らかに微笑して、シルヴィオはチョーカー越しに希有の首筋に口づけた。その仕草に耳まで真っ赤に染め上げた希有の頬に触れて、シルヴィオは優しく唇を重ねた。