花と髑髏

序幕 花は朝焼けに咲く 01

 春風が優しく囁く、一面を花に包まれた丘の上。
 灼熱の赤と陽光の金が混じり合う朝焼けの髪を風に遊ばせて、女は一つの髑髏を掲げる。
 常闇を孕んだ髑髏の眼窩と目を合わせて、その額に柔らかに唇を落とす。白く滑らかな女の頬を透明な滴が一筋伝った。

「ずっと、ずっと……、愛している」

 愛しい男の髑髏を抱いて、女は鮮やかな笑みを浮かべた。