マグノリアの悪魔
序幕 歴史はかく語りき
悪魔と交わった女神――魔女を祖とするマグノリア帝国。
一騎当千の魔法使いを有し、暴虐の限りを尽くした帝国は、いっときは北方大陸の覇権を手にするほど強大であった。
彼の帝国には、のちに稀代の魔女、傾国の娼婦と呼ばれた女がいた。
レナ・ダールベルク。
マグノリア帝国史上、最も陰惨な時代の元凶であり、亡びのきっかけとなった娘。
帝歴二八〇年。
彼女が火刑に処されたのは、十八になる春のことだった。一介の公爵令嬢でしかなかった少女が、いかにして帝国に亡びを齎したのか。
これを記すのは、私の最後の責務となるだろう。
《マグノリア帝国史 序より引用》
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